クトゥルフ神話
クトゥルフ神話は、H・P・ラヴクラフトの作品を基盤とし、オーガスト・ダーレスら後継作家によって整理・拡張された現代ファンタジー体系であり、宇宙的恐怖、禁忌の知識、旧支配者、名状しがたい古き存在を核心とする。...
嵐の去った荒れ山で、廃屋の近くに住む人々が次々と無残な死を遂げる。一人の調査者が仲間とともに現地へ向かうが、そこで見いだした恐怖は伝説の幽霊ではなく、暗闇の中で退化した一族の恐るべき末裔だった。
ランドルフ・カーターは大人になるにつれ、夢へ通じる力を失ってしまう。現実も学問も神秘術も、幼いころに見た不思議な国々を再び彼に見せることはできなかった。だが祖先の残した樫の箱から銀の鍵を見つけたとき、彼は古い道をたどってアーカム近くの山林へ戻り、時をくぐるように人の世から姿を消す。
金髪の歌びとイラノンは、冷たい石の都テロスへやって来る。彼は美しいアイラの出身で、失われた王子なのだと語った。自分の歌をわかってくれる人と、記憶の中の故郷を探し続けた彼は、最後に老いた牧人の口から残酷な真実を聞く。
故郷を遠く離れていた男が、クリスマスの季節に、祖先の伝承が残る海辺の古い町キングスポートへ戻る。百年に一度の秘密の祭りに加わるためだった。沈黙する血族に導かれ、古屋敷、教会、地下の奥深くへ進むうちに、彼はその儀式が人間の記憶よりも古く、家に伝わる言い伝えよりもはるかに恐ろしいものだと知る。
ミスカトニック大学の教員アルバート・N・ウィルマースは、当初、バーモントの洪水後にささやかれる怪談を、民俗学で説明できるものだと考えていた。だが、隠遁する学者ヘンリー・ウェントワース・エイクリーから届く手紙、写真、レコード、そして黒い石の証拠が、彼をじわじわと追い詰める。山中にはユゴスから来たミ=ゴが潜んでいる――そう信じるほかなかった。そして彼がついにエイクリーの農家を訪れたとき、恐怖の本質は怪物が姿を見せることではなく、人間がどこまで残っていればなお生きていると言えるのかにあるのだと知る。
ランドルフ・カーターは、夕暮れに輝く黄金の都を三度夢に見た。だが、近づこうとするたび、いつも何かに引き離され、門前で目覚めてしまう。その都を求めて彼はドリームランドの深奥へ分け入り、夢境諸神の棲む未知なるカダスを追う。旅はウルタール、オリアブ、地下の深淵、レン、そしてナイアルラトホテップの罠へと及び、やがて彼は、その都が遠い報酬ではなく、幼い日の記憶が夢の中で結晶した故郷だったと知る。
ランドルフ・カーターの失踪から幾年もたち、遺産をめぐる会合に謎のインド人チャンドラプトラが現れる。彼は、カーターが銀の鍵で夢の彼方の門を越え、時を超える存在と遭い、異星の肉体に囚われたのだと語る。やがて仮面は剥がされ、カーターはその場にいたのだと知れわたる。
ムナルの静かな湖畔で、サルナス人は古いイブの町を滅ぼし、そこにあった神像を奪い取って、自分たちの都を世にも稀な繁栄へと育て上げた。だが、その勝利から千年目の大宴の夜、湖に沈んでいた怨みがついに戻り、サルナスは姿を消す。
スカイ川の向こうにあるウルタールでは、ひと組の老夫婦が町の猫を殺してまわっていた。やがて、旅の一行とともに来た孤児が小さな黒猫を失い、夜空に祈りを捧げると、ウルタールの猫たちは一晩じゅう姿を消し、翌日には二度と猫を殺してはならぬという法が残された。