
ギリシア神話
オムファロスは、ギリシャ伝承でデルポイの聖域と結びつく神聖な石であり、別称はデルポイのへそ石、世界のへそである。デルポイの神託権威を象徴するものとされ、アポロンがデルポイを占有し、神殿を建て、巫女を通じて神意を伝える伝承と強く結びついている。
オムファロスがデルポイに現れた経緯を明確に語る物語はない。『アポロンとピュトン』が示すのは、アポロンがピュトンを討ってこの谷を占有し、神殿を建て、デルポイを神託の地にしたという点までである。オムファロスは、こうした聖域の伝統の中で理解されることが多く、英雄の一回の行為によって得られたり作られたりした器物というより、デルポイの神聖な中心を示す標章と見なされる。
オムファロス自体が攻撃や防御、あるいは魔法を明示的に発揮するとは語られていない。役割は主として宗教的・象徴的なもので、デルポイの神聖な中心を示し、アポロン神託の権威を強め、求問者、巫女、神殿空間をひとつの神聖な秩序に結びつける。
オムファロスは、通常デルポイの聖域に置かれた神聖な石を指す。名称には「へそ」の意味があり、「世界のへそ」「大地のへそ」とも呼ばれる。ギリシャ宗教の想像では、デルポイが世界の中心であること、また神意が現れ、人が問いを立てる中心地であることを象徴した。
オムファロスは武器でも日用品でもなく、祭儀と神託の場に置かれる聖物である。アポロンのデルポイ神殿、ピュティアの巫女、神託を求める伝統とともに語られることが多い。その意味は、英雄が持ち歩くことにあるのではなく、聖域に据えられてデルポイの神聖な中心地位を示すことにある。
『アポロンとピュトン』では、アポロンがピュトンを討ち取ってデルポイの谷を占有し、神殿を建て、人々がそこへ神託を求めに来るようにしたことが明示される。女祭司は神聖な場所に座り、アポロンの言葉を伝える。この叙事はオムファロスが属するデルポイ神託の背景を支えるが、オムファロスそのものの名は直接は挙げていない。
より広い古典伝承では、オムファロスはデルポイの「世界のへそ」とされることが多い。この呼び方は、デルポイが神託の中心であり、宇宙の中心でもあるという象徴的意味を強める。現存する物語資料はデルポイ聖域と神託の背景までは伝えるが、へそ石そのものの来歴、形状、儀礼上の位置までは詳しく示さないため、細部はなお文献照合が必要である。