
ギリシア神話
ヒッポリュテの帯は、ギリシア神話でアマゾン女王ヒッポリュテが持つ王権のしるしである。戦神アレスから授けられたと伝えられ、女戦士たちの中での彼女の威望を象徴する。エウリュステウスがヘラクレスに奪取を命じたため、十二の功業に関わる重要な遺物となった。
帯の起源は、通常、戦神アレスにさかのぼる。よく知られた伝承では、アレスがアマゾン女王ヒッポリュテにこの帯を授け、女王としての身分と戦士としての威望を示す外的なしるしにしたとされる。物語は帯の製作者、材質、最初に授けられた儀式を詳しく説明せず、神から与えられたしるしとしての地位を強調している。最初の重要な登場は、ヘラクレスがエウリュステウスの命を受け、アマゾン人の土地へ赴き、功業の成果としてこれを持ち帰る場面である。
ヒッポリュテの帯には、直接魔法を使う力、身を守る力、攻撃する力は明確に示されていない。その力は主に象徴的・政治的な意味にある。すなわち、アマゾン女王の統治権を示し、女戦士たちの忠誠をまとめ、アレスの贈り物であることによって戦神に認められた威厳を帯びる。ヘラクレスの功業では、奪取して献上しなければならない任務の遺物でもある。
ヒッポリュテの帯は普通の装飾品ではなく、アマゾン女王を示す代表的な佩用物である。一般的な伝承では戦神アレスに由来し、女王の統率権と戦士としての栄誉を表す。帯そのものはアマゾン人の軍事的な社会と深く結びつき、王権、武勇、神から授けられた権威の象徴と見なされることが多い。
帯はもともとヒッポリュテが持っていた。エウリュステウスの娘アドメテがこの帯を望んだため、エウリュステウスはヘラクレスに、アマゾン人の国まで遠征して持ち帰るよう命じた。ヘラクレスがテルモドン川の河口に着くと、ヒッポリュテは当初、彼の功業を成就させるために帯を渡すつもりだった。ところがヘラがアマゾン人の姿に化けて噂を流し、女戦士たちとギリシア人との衝突を引き起こした。ヘラクレスはヒッポリュテが罠を仕掛けたと誤解し、乱戦の中で彼女を殺して帯を奪い、最後にそれをエウリュステウスへ献上した。
『ヒッポリュテの帯』は、この帯がアレスからヒッポリュテへ贈られたしるしであり、ヘラクレスの功業の目標でもあることを明確に述べている。『ゲリュオンの牛群』では、ヘラクレスがヒッポリュテの帯を献上したあと、エウリュステウスがさらに新たな任務を課したことが語られ、この遺物が功業の順序の中で次の冒険へつながる位置にあることを示している。
『テセウスとアマゾン人』は、アマゾン人、ヒッポリュテ、ギリシアの英雄たちの関係について別の語りを残しているが、帯を中心となる器物としては扱っていない。ヒッポリュテが自ら帯を渡そうとしたか、誤解から生じた戦闘で死んだかについては、古典伝承の中でも異なる語りがある。本記録は、ヘラクレスの功業を中心とする叙述に基づいている。