
ギリシア神話
アイギスはギリシア神話における神聖な防具であり、王権のしるしでもある。主にゼウスに属し、アテナも持つことが多い。盾、胸当て、あるいは房飾りの付いた山羊皮として描かれ、神盾、ゼウス神盾、アテナ神盾などの別名があり、ゴルゴンの首と結び付けられることもある。
中心となる物語ではアイギスの単独の起源は明示されない。一般にはゼウスに属し、のちにアテナも用いるようになったとされる。別の伝承では、その名が山羊皮と結び付けられ、古い護身と威嚇の意味を持つと考えられている。古典作者や後世の解釈によって形や素材、帰属は異なるため、アイギスはゼウスの神権とアテナの武装像に共通する神聖な防具として捉えるのが適切である。
アイギスの主な力は守護、威嚇、制圧である。ゼウスが持てば神王の威厳と懲戒力を示し、アテナが身に着ければ戦場での威圧を強め、敵を恐怖と混乱のうちに退かせる。ゴルゴンの首と結び付いたアイギスは、魔除けと敵を怯えさせる力も持つ、神聖な防御と戦争権威の結合体である。
アイギスはオリュンポスの神権を示す重要な象徴である。護具であると同時に、神威の顕現でもある。古典伝承では、盾のように見えることもあれば、胸当てや肩に掛けた革製の防具として描かれることもあり、縁に房飾りが付いて、戦場で敵を震え上がらせる。
アイギスはゼウスと結び付けられることが最も多く、雷霆の主の統治、庇護、懲戒を表す。アテナもまたアイギスを持つことが多く、特に戦争と城邦の守護者として描かれる場面で目立つ。アテナのアイギスは、蛇の装飾、ゴルゴンの顔、完全武装の神姿と組み合わされることが多い。『アテナの誕生』では、アテナがゼウスの裂けた頭から完全武装の姿で槍を手に現れ、この像は、のちに彼女が盾と鎧をまとって城邦を守る伝統と重なる。
中心となる物語資料は、アテナが「全身武装」で生まれる像は明確に残しているが、アイギスという名や、その材質、起源までは直接説明していない。より広い古典伝承や百科事典資料では、アイギスをゼウスとアテナの代表的な護具として挙げ、神盾や山羊皮の防具と呼ぶことがある。
形についての伝承も一様ではない。ゼウスの盾とする説もあれば、アテナの胸や肩に掛ける防具とみなす説もあり、聖なる力を宿した山羊皮と説明する伝承もある。ゴルゴンの首と結び付いたアイギスは、アテナの図像で最もよく見られる形の一つである。