
ギリシア神話
ピュロスは、ギリシア神話でネストルが治める都市国家であり、トロイア戦争の英雄たちの帰還伝承において重要な王国の一つである。『オデュッセイア』に関わる物語ではとくに重要で、テレマコスはオデュッセウスの消息を尋ねるため、最初にこの地を訪れる。
物語の文脈では、ピュロスは海辺にあり、テレマコスはイタケーから船でここに到着する。町の人々は海岸での祭礼と結びついて描かれ、ネストルはさらに息子を同行させ、テレマコスをピュロスからスパルタへ馬車で向かわせる。
ピュロスは主に、老王ネストルの王国として登場する。ネストルはトロイア戦争に参加したギリシア側の老英雄であり、ピュロスを訪れたテレマコスを迎え入れ、トロイア陥落後にギリシアの諸王がそれぞれ別の帰途についたことを語る。そのためピュロスは、オデュッセウスの帰還伝承の中で、かつての戦争を知る証人に消息を尋ねる場所として機能する。
トロイア戦争の前後を扱う物語でも、ピュロスはギリシア諸都市と王侯の一つに数えられる。ヘレネの求婚者やトロイア遠征に関する叙述では、ピュロスの人々や戦士が言及されており、この都市がギリシア連合軍のネットワークに属する王権都市の一つであったことを示している。
ピュロスは海路で到達できる都市国家として描かれる。テレマコスが夜にイタケーを出航すると、船は夜明けにピュロスへ着き、彼はそこで海辺で行われるポセイドンへの祭礼を目にする。その後、ピュロスからスパルタへの旅は陸路の馬車に切り替わるため、物語上のピュロスは海上の寄港地であると同時に、内陸の王宮へ向かう道の出発点でもある。
『テレマコスと求婚者たち』ではこの場所が言及され、アテナはテレマコスに、まずピュロスでネストルを訪ね、その後スパルタへ行ってメネラオスに尋ねるよう勧める。
『テュンダレオスの誓い』ではピュロスが言及され、ヘレネの求婚者たちの出身範囲の中に、他のギリシア都市国家と並んで現れる。
『ギリシア軍の集結と和平使節』ではピュロスが言及され、ピュロスの老王ネストルは誓いに応じ、ギリシア人によるトロイア遠征の集結に加わる。
『アウリスのイフィゲネイア』ではピュロスが言及され、ピュロスの戦士たちはアルゴス、スパルタ、サラミスなどの軍勢とともに、アウリスで出航を待つ。