
ギリシア神話
ペロポネソスはギリシア神話における重要な地域であり、半島の名でもある。とくにペロプスの王権、結婚、命名伝承と結びつき、英雄譚では都市、道路、海岸、冥界への入口が置かれる舞台となる。
ギリシア本土南部にある半島で、複数の都市国家、山地、海岸、道路が組み合わさって成り立つ。東にはトロイゼン、南端にはテナロン岬があり、コリントス地峡がアテナイ方面へ通じる陸路を結んでいる。
神話伝承において、ペロポネソスは単独の都市ではなく、王国、町、道路、海岸の地点を含む広い地域として扱われる。ペロプスがエリス一帯でヒッポダメイアとピサの王権を得たのち、この半島は彼の名に由来すると語られ、「ペロプスの島」と解されることがある。
また、英雄の移動を支える地理枠組みでもある。テセウスはペロポネソス東部のトロイゼンを出発し、陸路でアテナイへ向かう途中で、盗賊や怪物がいる道、林地、崖、地峡付近を通った。ヘラクレスがケルベロスを連れ出す物語では、南端のテナロン岬が冥界への入口として語られる。
物語上のペロポネソスには、東部のトロイゼンとアテナイへ続く道、北方にあるコリントス地峡、南端の海沿いのテナロン岬が含まれる。関連伝承には海辺の崖、松林、山道、荒野、海岸の洞窟も現れるが、それらはそれぞれ個別の場面に属し、ひとつの景観としてまとめられるわけではない。
「ペロポネソス」という名はペロプスの伝承に結びつけられ、半島を「ペロプスの島」とみなす説明が古くから語られた。これは、ペロプスが土地と王権、名声を得たのち、その個人伝承が半島名に重ねられたことを示している。
古代ギリシアでは、ペロポネソスはポリス政治の要地でもあった。日本語資料でいう「ペロポネソス同盟」は、スパルタを中心にペロポネソス半島の諸都市とその周辺を結んだ同盟で、神話のペロプス命名伝承や英雄譚とは別の歴史層に属する。
『ペロプス』では、ペロプスがエリス一帯でヒッポダメイアと王権を得たのち、半島が彼にちなむ名で呼ばれる。
『ケルベロス』では、ヘラクレスが最後の試練に向かう前にペロポネソス南端のテナロン岬へ至り、そこから冥界へ入る。
『テセウスが父を訪ねる旅』では、テセウスがペロポネソス東部のトロイゼンを出発し、陸路でアテナイへ向かう途中、通り道の盗賊や怪物を退けていく。