
ギリシア神話
オリュンポスはギリシア神話におけるオリュンポスの神々の住まいであり、ゼウスが新しい神々の秩序を確立した後の聖なる山である。神々が集まり、評議し、宴を開く高みであると同時に、ティーターン、ギガース、テュポンなどの敵対勢力が挑もうとする中心でもある。
オリュンポスはギリシア北部のオリュンポス山に対応し、エーゲ海のテルマイコス湾北岸付近に位置する。現実の山としてはギリシア最高峰を含む山地であり、神話上の場所としては雲霧に包まれ、人間には近づきがたく、天空に近い山頂の住まいとして描かれる。
オリュンポスは、神話の中で新しい世代の神々が支配権を得た後に共に住む高山である。ゼウスはティーターンとの戦いの後に神々の王となり、神々はオリュンポス山上にそれぞれの座を占め、自分の権能と取り分を保った。この配置によって、オリュンポスは単なる住居ではなく、神々の権威と秩序の象徴にもなっている。
オリュンポスは、宇宙的な規模の争いでたびたび攻撃の目標となる。ティーターンとの戦いでは、ゼウスの側がオリュンポスに上り、オトリュス山一帯に集まったティーターンに対抗した。ギガースとの戦いでは、ギガースたちがオリュンポスへ攻め寄せ、ゼウスと神々の地位を揺るがそうとした。テュポンとの戦いでも、テュポンはオリュンポスを見上げ、ゼウスの王座に直接挑んだ。
物語の文脈では、オリュンポスは雲に届くほど高い峰として描かれ、山腹には雲霧がかかり、山頂には神々の宮殿と座席がある。天空の支配権と結びついているが、天空そのものと同一ではない。ゼウスが天空と雷霆を司るのに対し、オリュンポスはゼウスと神々が座を定める山上の住まいである。
オリュンポスは、ほかの宇宙的領域とも対比される。タルタロスは大地の深みにあり、敗れたティーターンが閉じ込められる場所である。冥界はハデスが支配し、海はポセイドンの領分である。これに対してオリュンポスは高山の上にあり、神々が共に往来し、供物を受ける中心として位置づけられている。
現実のオリュンポス山はギリシア北部にあり、エーゲ海のテルマイコス湾北岸に近い。複数の峰から成り、最高峰は一般にミティカス峰と呼ばれ、標高は約二千九百メートルで、ギリシアの最高峰である。山体は海岸に近い一方で高山地形を備えており、地理的には山岳と沿岸の性格を併せ持っている。
日本語では「オリュンポス山」のほか、「オリンポス山」という表記も広く見られる。この神話項目では、オリュンポスの神々やオリュンポス的秩序という表現との一貫性を保つため、「オリュンポス」を用いる。
『世界の三分割とオリュンポスの秩序』ではこの場所が言及される。ゼウスはティーターンとの戦いの後に天空の支配権を得て、神々はオリュンポス山上に座を置き、そこから新しい神々の秩序が成立する。
『ティーターンとの戦い』ではこの場所が言及される。ゼウスとその兄弟姉妹はオリュンポスに上り、オトリュス山一帯に集まったティーターンと戦う。戦いの終結後、オリュンポスは新しい神々の時代の中心となる。
『ギガースとの戦い』ではこの場所が言及される。ギガースたちはオリュンポス山へ攻め寄せ、ゼウスと神々はヘラクレスの助けを得て神山を守る。
『テュポンとの戦い』ではこの場所が言及される。テュポンは大地の深みから現れてゼウスに挑み、ゼウスの王座がある神山としてのオリュンポスが脅かされる。
『メコネの供犠肉と火の盗み』および『パンドラ』でもオリュンポスは言及される。ゼウスは山上から人間界の火と人間の境遇を見定め、そこからプロメテウスと人類への罰を手配する。