
ギリシア神話
リュキアは、ギリシア神話で小アジア南西部に置かれる地方である。ベレロポン伝説ではイオバテスの王国であり、キマイラが現れ、英雄が試練を受ける場所として描かれるほか、トロイア戦争の物語ではトロイア側の同盟者の故地としても現れる。
リュキアは小アジア南西部に位置する。ベレロポンはギリシア本土から出発し、山道や平野を経てこの地に到着する。物語の中のリュキアには王宮、山野、谷、牧場、道などが含まれ、王権の中心であると同時に、英雄の遠征と戦闘が起こる地域でもある。
リュキアは、ベレロポンの物語ではまず異国の王国として登場する。プロイトスは、死を命じる密書をベレロポンに持たせ、リュキア王イオバテスのもとへ送る。イオバテスは客人を直接殺すことができないため、ベレロポンをキマイラ、ソリュモイ人、アマゾン族、さらに伏兵へと向かわせる。こうしてリュキアは、陥れられた客人であったベレロポンが、英雄として認められていく重要な舞台となる。
トロイア戦争に関わる物語では、リュキアは同盟者の故郷としても現れる。パンダロスはリュキア地方から来た弓の名手とされる。サルペドンはリュキアから兵を率いてトロイア勢を助け、戦場でパトロクロスと戦って命を落とす。
リュキアは小アジア南西部にあり、物語上の場面は山地、谷、道、牧場を中心に構成される。キマイラはリュキアの山野や深い谷のあいだに出没し、その炎は畑、林、家畜を脅かす。ソリュモイ人は、山地の険しい道に通じた勇猛な人々として描かれる。王宮、荒れた山地、帰路、伏撃の場所が結びつき、ベレロポンがリュキアで受ける試練の空間を形づくっている。
『シーシュポスとベレロポン』ではリュキアが言及される。ベレロポンはプロイトスの密書を携えてイオバテスの王宮へ赴き、その後この地方でキマイラを倒し、死地へ送られる試練を何度も経験する。
『ベレロポンとキマイラ』ではリュキアが言及される。ここはキマイラが畑や牧場に害を及ぼす場所であり、ベレロポンが王女、土地、名声を得る王国でもある。
『パンダロス、誓約を破る』ではリュキアが言及される。パンダロスはリュキア地方出身の弓の名手として描かれ、休戦の誓約の後にメネラオスを射傷し、戦闘を再び引き起こす。
『パトロクロスの死』ではリュキアが言及される。サルペドンはリュキアから兵を率いてトロイア勢を助け、トロイアの戦場でパトロクロスに討たれる。