
ギリシア神話
コルキスはギリシア神話で遥かな東方にある地域であり、黄金の羊毛が保管される場所として最も重要である。アイエテス、メーデイア、プリクソスの伝承とも結びつく王国で、アルゴー遠征の目的地となる。
アルゴナウタイの物語では、コルキスは黒海の奥へ向かう遠い海岸にあり、コーカサス山とファシス川の河口に近い。アルゴー船は到着するとまずファシス川に入り、川をさかのぼって現地の王城へ向かう。現実の地理伝承では、コルキスは一般に現在のジョージア西部に対応するとされる。
コルキスは、アルゴー遠征において黄金の羊毛がある地域である。プリクソスはここへ逃れて王アイエテスに迎えられ、神の牡羊をゼウスに捧げた。黄金の羊毛はアレスの聖なる林に置かれ、眠らない竜に守られていた。イアソンはペリアスの命令で黄金の羊毛を取り戻すためコルキスへ赴き、そのためこの地は遠征路の終着点となり、イアソン、メーデイア、アイエテスの対立が起こる中心的な場所となった。
コルキスは、コーカサス山に近く、ファシス川が海へ注ぐ湿潤な地域として描かれる。アルゴー船は海から河口に入り、広く濁った川筋を進む。両岸には密な木々、葦、浅瀬が広がる。城の外には道、畑、牛や馬の群れがあり、黄金の羊毛が置かれた場所はアレスの聖なる林である。さらに、アイエテスがイアソンを試すために用いた畑もある。
安定した地理伝承では、コルキスは一つの都市ではなく、黒海東岸、コーカサス南方の歴史的地域であり、通常は現在のジョージア西部と結びつけられる。神話叙述におけるファシス川、河口、王城、聖なる林、海岸が、アルゴナウタイがこの地で活動する主要な空間を形づくっている。
日本語では通常「コルキス」と表記される。ギリシア伝承の Kolchis / Colchis は、遠方の王国を指すと同時に、アルゴナウタイが黄金の羊毛を求めて向かう目的地を指す。関連する物語では、この地は「遥かな東方」、「黒海の奥」、「コーカサス」、「ファシス川の河口」といった地理的想像と結びつけられることが多いが、項目内では神話上の描写と現実地理上の対応を分けて述べる必要がある。
『イアソンとペリアス』ではこの場所が言及され、ペリアスは王位を返す条件として、イアソンにコルキスへ行って黄金の羊毛を取り戻すよう求める。
『アルゴー船と英雄たちの集結』ではこの場所が言及され、コルキスはアルゴー船が出航するときの遠征目的地であり、黄金の羊毛はその地の聖なる林に掛けられているとされる。
『アルゴナウタイ、コルキスに到着する』ではこの場所が言及される。アルゴー船はファシス川に入り、イアソンはアイエテスの王宮へ行って黄金の羊毛を求め、火を吐く牡牛を御し、竜の歯をまく試練を受けることになる。
『アルゴナウタイ、コルキスから逃れる』ではこの場所が言及される。イアソンはメーデイアの助けで黄金の羊毛を持ち去り、その後ファシス川のほとりから船に乗って逃げ、アイエテスはコルキスの艦隊を差し向けて追跡させる。