
ギリシア神話
アウリスは、トロイア戦争の伝承でギリシア連合軍が集結し、船を停泊させ、出航を待った海岸の地である。ギリシア本土からトロイアへ向かう遠征の重要な出発点であり、無風による足止め、イピゲネイアの犠牲の伝承、諸王が正式に海を渡って戦いへ向かう場面と結びついている。
アウリスは物語の中で、海に面した港湾と軍営のある海岸として描かれる。艦隊は湾内に停泊し、兵士たちは岸辺に陣を敷き、祭壇はその野営地の近くに置かれる。ここはギリシア本土からトロイア方面へ向かう海路の起点であり、各ポリスから集まった船団と、その後に小アジア沿岸へ進む遠征路をつなぐ場所である。
アウリスは城壁、王宮、神殿を中心とする都市ではなく、トロイア戦争の前にギリシア連合軍が集まった海岸である。各地の王侯、英雄、船団がここで合流し、アガメムノンは総大将として諸王の期待と圧力を受ける。メネラオスもまた、ヘレネを取り戻すための遠征がここから始まるのを待っている。
イピゲネイアの伝承では、アウリスは神意、軍の命令、家族の悲劇が交差する場所となる。艦隊は風がないため出航できず、予言者カルカスはアルテミスが航海を阻んでいると告げる。アガメムノンはそのため、娘イピゲネイアを犠牲にせよという要求に向き合わされる。この物語では、戦争がまだトロイアに到達する前から、ギリシア陣営がすでに代償を払う場所としてアウリスが描かれている。
トロイア戦争の地理において、アウリスは主に航路上の結節点である。物語では湾、船、帆柱、岸辺の天幕、祭壇、順風を待つ軍勢が繰り返し描かれ、この場所の役割が海岸での停泊と出航条件に支えられていることが分かる。ギリシア艦隊はここを離れた後、トロイア方面へ進み、途中で島々や海峡を経て、最終的にトロイアの海岸へ到着する。
この場所は、ギリシア各地からの合流路とも結びついている。アルゴス、スパルタ、ピュロス、サラミス、クレタ、イタケーなどから来た指導者と戦士がここに集められたため、アウリスはヘレネの求婚者たちの誓いが実行に移された後の共同の集合地点となった。
『アウリスのイピゲネイア』ではこの場所が語られる。ギリシア連合軍は無風のためアウリス湾に足止めされ、アガメムノンは出航と引き換えにイピゲネイアを差し出すよう求められる。
『ギリシア勢の集結と和平使節』ではこの場所が語られる。各地の英雄たちは誓いに従って船を率いてアウリスへ来た後、出征に先立ってメネラオスとオデュッセウスをトロイアへ交渉に向かわせる。
『スキロスのアキレウス』ではこの場所が語られる。ギリシアの指導者たちはすでにアウリス周辺に集まっていたため、オデュッセウスはスキロスに隠されていたアキレウスを見つけ出さなければならなかった。
『ギリシア勢のトロイア到着』ではこの場所が語られる。ギリシア艦隊はアウリスから出航してトロイアへ向かい、到着後に上陸戦を始める。
『アガメムノン、軍勢を試す』ではこの場所が語られる。トロイア城外でオデュッセウスが兵士たちを説得する際、ギリシア勢がかつてアウリスに集結した時に見た神兆を振り返る。
『アガメムノンの最期』ではこの場所が語られる。クリュタイムネストラは、アガメムノンがアウリスで出航のためにイピゲネイアを犠牲にしたことを、復讐の重要な理由とみなす。