
ギリシア神話
アテナイはギリシア神話におけるアッティカの中心的なポリスであり、アテナが守護権を得て、その名と結びつけられた都市である。関連する物語では、アテナとポセイドンが支配を争った土地であると同時に、アイゲウスやテセウスらアテナイ王家の伝承の主要な舞台でもある。
アテナイはアッティカに位置し、物語では丘陵、海岸、平地が接する場所として描かれ、遠くにサロニコス湾を望む。市内には高くそびえる岩丘と城塞があり、後代の語りではアクロポリス、王宮、道路、周辺の田園へ通じる道筋によって都市空間が組み立てられることが多い。
アテナイは、ギリシア神話ではまず神々に守られたポリスとして位置づけられる。ポセイドンとアテナはいずれもこの土地の守護神となることを望み、ポセイドンは三叉の矛で岩を打って塩気のある水を湧かせ、アテナはオリーブの木を植えた。神々は、アテナの贈り物のほうがポリスの生活にふさわしいと裁定し、都市は彼女の名と守護権に結びつけられた。
英雄伝説においても、アテナイは王位継承とポリスの秩序をめぐる場所である。アイゲウスはアテナイ王であり、テセウスはトロイゼンで父の残した剣と履物を取り出したのち、陸路でアテナイへ向かって父に名乗り出る。アテナイに入ったテセウスは王宮でアイゲウスに認められ、さらにパラスの子らによる王位争いの企てを退け、マラトンの牡牛を制することでアテナイ人の前で自らの地位を固めていく。
物語におけるアテナイは、アッティカの岩の多い丘陵、浅い土壌、海に近い立地に支えられている。アッティカは肥沃とは言いにくい土地として描かれる一方で、防御に適した丘、船の往来が可能な海岸、耕作できる平地を備えている。サロニコス湾から吹く海風、灰白色の石の斜面、痩せた山地、オリーブの木が、アテナイ神話の自然的背景を形づくっている。
アテナイは周辺へ伸びる道とも密接に結びついている。テセウスがトロイゼンからアテナイへ向かったとき、海路のほうが速く安全だとされたが、彼は陸路を選び、地峡、山道、松林、海辺の断崖、エレウシス近郊を経て、最後にアテナイへ到着した。この道筋は、アテナイをアッティカの政治的中心であり、英雄の旅の到達点として描き出している。
アテナイの宗教的景観は、物語の中ではアクロポリスとアテナのオリーブの木に集中している。ポセイドンが残した塩水の泉と三叉の矛で岩を打った痕跡は、アテナが植えたオリーブの木とともに、都市の記憶として語られる。アテナイはアテナの守護を受ける都市であるが、物語は同時に、海に近いこのポリスが海神の力から切り離されてはいないため、アテナイ人がなおポセイドンを畏敬していたことも強調する。
王宮は、アテナイの王権をめぐる物語の中心となる場所である。アイゲウスはここで、まだ素性を明かしていないテセウスを迎え、メデイアもまたこの場所で毒を盛った杯を用意する。テセウスが剣と履物によって認められると、アテナイ王位の継承危機は公の局面へ移り、ポリスの政治と英雄の身分が王宮で交差する。
『アテナとポセイドンのアテナイ争い』ではこの場所が言及される。アテナイはアッティカの中心的なポリスとして、二柱の大神が守護権を争う対象となり、オリーブの木と塩水の泉は都市の神話的記憶の一部となった。
『テセウス、父を訪ねる旅』ではこの場所が言及される。アテナイは、テセウスがトロイゼンを出発した後に目指す目的地であり、アイゲウスのしるしを携えて父に認められようとする都市である。
『アテナイのテセウス』ではこの場所が言及される。テセウスはアテナイ王宮に入ったのちアイゲウスに認められ、市内でメデイアとパラスの子らがもたらす王権の危機に直面する。