
ギリシア神話
アルカディアはギリシア神話に登場する山がちな地方で、狩猟、山林での暮らし、土地の王族伝承と結びついている。カリストー、アルカス、アタランテー、またヘラクレスの一部の功業の背景として重要である。
アルカディアは、山が多く、森や泉があり、野獣の出没する地方として描かれる。谷、山腹、林地、エリュマントス山方面へ向かう道を含み、狩人、女神の従者、野獣が活動する場となる。
アルカディアは、これらの物語では単独の都市ではなく、山林と王族伝承を中心とする地域として現れる。カリストーはアルカディア王リュカオンの家系に属するとされ、この地でアルテミスに従って狩りをし、のちには雌熊の姿で山中をさまよう。彼女の息子アルカスもこの土地と結びつき、アルカディア人の記憶における祖先的人物となった。
アルカディアは、いくつかの英雄譚において出自や行動の舞台にもなる。アタランテーはアルカディア出身の女狩人とされる。ヘラクレスがエリュマントスの猪を追う際にも、アルカディア方面へ進んでいる。
アルカディアは、山地と林地が組み合わさった地域としてしばしば描かれる。松林、オーク、冷たい泉、山腹、谷、灌木があり、鹿、狼、熊、猪などの動物が物語上の自然背景を形作る。こうした環境は、狩猟隊、群れから離れた少女、野獣の足跡、英雄の山中行にふさわしい舞台として用いられる。
これらの描写は神話叙事における地景であり、現実の地理を網羅的に説明するものではない。物語上の機能から見ると、アルカディアはギリシア神話において山野、狩猟、土地の系譜が交わる地域である。
「カリストー」ではこの地が言及され、カリストーはアルカディア王リュカオンの娘の一人として描かれ、アルカディアの山林でアルテミスに従って狩りをする。雌熊に変えられた後も、彼女はこの山地をさまよう。
「カリュドーンの猪狩り」では、アタランテーがアルカディア出身であることが語られる。彼女は女狩人として狩りに加わり、最初にカリュドーンの猪を射傷する。
「ケリュネイアの牝鹿とエリュマントスの猪」では、ヘラクレスがアルカディア方面へ向かい、その後エリュマントス山に入って猪を捕らえる。